第7回JSCR研究会学術集会:抄録
高周波ラジオメスによる下甲介焼灼術
慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科 神崎 晶 先生
- 下甲介焼灼術は主としてアレルギー性鼻炎に対する治療として行われている。特に鼻閉が強く薬剤に抵抗するような症例に対してはレーザー手術を考慮してもよい、と鼻アレルギーガイドラインにも紹介されている。下甲介焼灼術において最も汎用されているのは炭酸ガスレーザーである。しかしながら、鼻中隔弯曲症が強い場合には下甲介の視野がえられなかったり、レーザープローブが届かず、焼灼できないこともあるのが欠点である。一方、単極針による高周波ラジオメスでは、プローブがフレキシブルであるため、鼻中隔弯曲によって視野が得られにくい場合でも焼灼可能である。さらに接触型のプローブであるため、炭酸ガスレーザーで考えられうる誤照射などのリスクはない。また、いくらか技術的に習熟を要するものの、双極子を用いれば下甲介表面を焼灼せずに深部を焼灼するので、術後下甲介表面に痂皮がつかず、術後処置が最低限に行えることも利点である。
- 焼灼術によって期待できる効果は鼻閉を中心に鼻漏、くしゃみの制御である。鼻閉の改善は、焼灼によって形成される下甲介粘膜の瘢痕化によって粘膜の腫脹が軽減することが主因であろう。 粘膜表面の神経終末なども破壊するので、鼻閉や鼻漏が改善すると考えられる。鎮痛剤を内服するような疼痛や術後出血を訴えるような症例も現在のところ皆無である。
- 手術は、4%キシロカインと3000倍ボスミンを等量にしみこませたガーゼを鼻内に留置し浸潤させることにより下甲介粘膜表面を麻酔することができるため、注射をせずに術中の疼痛をなくすことができる。このような麻酔の簡便さ、術中時間の短さからも重小児のアレルギー性鼻炎にも応用可能であると考えている。特に小児のアレルギー性鼻炎は通年性のものが多く、特に抗ヒスタミン剤を中心とした薬物治療にも抵抗するような難治例で小学生以上であれば積極的に手術を勧めている。
- 前述した薬物治療の他に免疫療法も試みられるべき治療ではあるが、通院の手間やアナフィラキシーショックなどのリスクがある。その点、通院回数も少なく、手術治療としてはきわめて簡便である下甲介焼灼術を希望する患者も存在しているのが現実である。本口演では高周波ラジオメスを用いた下甲介焼灼術の実際を提示し、術中術後の注意を含めて解説を行いたい。
閉じる