第7回JSCR研究会学術集会:抄録
外来手術にサージトロンを用いた際の有用性と留意点
立川綜合病院 形成外科 高橋 博和 先生
- H17年2月よりサージトロンEMCの使用を開始し、母斑や脂漏性角化症などの隆起性皮膚腫瘍摘出術、眼瞼弛緩症などの眼瞼形成術、刺青切除術、皮弁形成術などに使用しています。当時はEMC付属の標準電極セットとバイポーラー・フォーセップのみ使用していました。標準セットのバリ・チップ電極の切れ味は使い慣れていなかったせいもありますが、形成外科医としての許容を超えており、高齢者の上眼瞼除皺術を2~3例施行しただけで使用を止めてしまいました。使用の主体は止血目的のバイポーラーで、時々母斑のくり抜き術後や、側爪郭炎の不良肉芽掻爬後の止血に焼却用電極とボール電極を使用していました。
- 私がサージトロンの認識を大きく変えたのはエンパイアニードル電極を使い出してからです。EMCの混合モードでのエンパイアニードルの使用法に慣れると、皮膚切開と皮下剥離時の出血が非常に少なくなりました。これにより眼瞼の手術の際は眼輪筋や挙筋腱膜の同定が容易となり、刺青切除の際は剥離の層を誤らずに済むようになりました。また全身麻酔下で大きな皮弁を挙上する際、以前は皮切部にエピネフリン含有局所麻酔剤を注入後、10番か15番メスで切開を開始していましたが、エンパイアニードルなら切開モードと混合モードの切り替え調整のみで、局麻を使わずに短時間で切開
- が終了するようになりました。サージトロンの使用に慣れるにつれ、顔面の表在性皮膚病変の治療にも積極的に使うようになりました。脂漏性角化症に対して以前はTCA(トリクロル酢酸)のピーリングか電動グラインダーでのアブレージョンを行っていましたが、サージトロンの焼灼モードでボール電極を当てて蒸散させてしまう方法が第一選択となりました。隆起性の母斑に対しても、くり抜き縫合法から、病理診断が必要な場合は金属メスで削いだ後ボール電極で凝固させる方法を、不要ならボール電極で先ず蒸散・乾固させ金属メスで削ぎ落とし、底面に母斑成分が残存している様なら同様の手技を繰り返す方法を多用するようになりました。
- 他方、サージトロンの使い難い点もいくつかあります。第1は連続使用時間の制限です。構造上の問題で不可避のようですが広範囲の剥離が必要な手術の際は、はがゆい思いをします。第2は脂肪層の切離がしにくい点です。皮膚切開時と同じレベルで筋層は容易に切離できますが、脂肪層は全く切れません。私の技術の稚拙によるものかもしれませんが、大きな皮弁や筋皮弁を挙上する手術では時間制限との相乗で、従来の電気メス方が使いやすく感じます。
- サージトロンを使用することにより切開、剥離が短時間に無血で行えます。従来なら手術室で行っていた局所麻酔手術をスタッフが手薄な外来処置室で行えます。年少者の手術(特に眼瞼)は安静を保ってくれないため、局麻手術は躊躇しがちですが、手術時間が短く済むので入院・全麻のデメリットを回避できます。今回の学術集会ではサージトロンEMCで手術した症例の供覧とその際に感じた留意点を述べる予定です。
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