Dr牛嶋_ 第7回JSCR研究会学術集会:抄録

第7回JSCR研究会学術集会:抄録
バイポーラシザーズ、吸引式凝固電極を用いた骨盤リンパ節郭清術

久留米大学 産婦人科 牛嶋 公生 先生

  •  婦人科内性器悪性腫瘍手術において、骨盤リンパ節郭清術は必須の手術手技である。同部位においては、骨盤内大血管(総腸骨動静脈、外腸骨動静脈)周囲のリンパ管、リンパ節の切除を行うため、大血管を傷つけない剥離操作が必要であるが、時にリンパ節周囲の小血管よりの出血も伴う。また、リンパ液の漏出によるリンパ嚢胞の頻度を出来るだけ減らすために、上端、下端のリンパ管の結紮に加え、小リンパ管も凝固もしくは結紮操作を行うことが望ましい。従来主にケリーやセーレ、電気メス、あるいは吸引管を用いていたが、3年前よりバイポーラシザースを用いている。さらに1年前より、そのパワーソースに高周波ラジオ波(サージマックス)を用いている。また、吸引を多く用いる閉鎖リンパ節の郭清操作に吸引式凝固電極ユニットを用いている。
  •  バイポーラシザースは凝固切開の際、鋏の間のみしか通電しないため、電気メスに比べ周辺の組織の損傷が少ない利点があるが、パワーソースにラジオ波を用いることにより、さらにその利点が増すと思われ、大血管近傍のリンパ管の切除や子宮摘出の際の膀胱の剥離、尿管周囲の操作、大網切除にも用いている。出血量の差異は明らかでないが、リンパ液の漏出は少ない印象があり、結紮回数の減少による時間短縮が期待できる。また、サージマックスでは2段階の出力(レギュラーとターボ)設定が可能なため、出力の強弱を部位により使い分けている。欠点は通常のセーレよりも刃が肉厚なため、細かい剥離操作ができないこと、刃先に結合織が付着していたり、ケーブルが捻れていると止血効果が落ちる点などが挙げられる。また、血管や尿管周囲の操作では、刃先の間に損傷すべきでない組織を挟まないよう留意する。ターボ出力の場合は通常のセーレを用いた剥離操作よりも、組織切離が深くなる恐れがあり、力の調節が必要である。
  •  吸引式凝固電極ユニットは、同じくラジオ波をパワーソースとしてモノポーラ電極の先端が吸引支管になったもので、吸引管と電気メスを持ち替えることなく、吸引と凝固の操作ができる。本来血液や止血の際の煙を吸引して術野を確保するためのユニットであるが、リンパ節摂子により組織を牽引しながら吸引することでリンパ管周囲結合織が剥離でき、組織が脈管のみになった時点で凝固切離を行う。出血やリンパ液の漏出が少ない印象がある。器具の持ち替えが不要なため、操作時間の短縮が可能である。骨盤リンパ節の場合は140mm長で、内径が3.2mmと太いものが使いやすい。また、先端は扁平になっているもののほうが、血管を傷付けにくい。欠点は従来の電気メスと併用すると、さらにケーブルの数が増えてセットアップが煩雑になることと、時折脂肪組織が吸引管の中で詰まってしまい、作業を中断して除去する必要がある。
  •  骨盤内の手術操作は、その良し悪しを外表から評価することが出来ないが、新しい機器を有効に使用することで、安全かつ確実な手術を目指す努力が必要である。

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